とにかく読む、水村美苗さんの『日本語で書くということ』

昨年、梅田望夫さんのブログで紹介されていて、とっても話題になった本の後に出版されたものです。

(書かれたものは1987年ものから2007年くらいまでです)

日本語で書くということ日本語で書くということ
(2009/04/22)
水村美苗

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まだ、話題になった「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」は読んでません。

今回は、「書く」に絞った文が紹介されています。

水谷さんが好きな日本の作家、夏目漱石谷崎潤一郎さんの小説を、

「日本語を通して」どのように味わっているのかが、が見えてきます。

虞美人草 (岩波文庫)虞美人草 (岩波文庫)
(2000)
夏目 漱石

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日本語の文章がとても素敵です。

ぜひ、味わってみてください!

以下引用。

プルーストの『失われた時を求めて』には「あのころ私は知らなかったが」という表現がくり返し出てくるが、実際パリの安宿で幸せだったときを振り返るときほど、その表現に宿る真実が心に迫ることはない。

私は自分が若いことを知らなかったのである。

だが、人は誰も若いころは自分が若いことを知らない。そのような無知は個人的な無知ではなく、つかのまの生を生きる人類に、恩寵のようにも原罪のようにも与えられた普遍的な無知である。私が死んでも次の世代がまたくり返さざるをえない無知である。

あとがきにあった、こんな文章

読むということから、書くということが生まれる。

私はしつこくそれを言い続けている。しつこくそれを言い続けているのは、私自身、日本語で読むことによってのみ、日本語で書くようになったからである。

知らなかった!旦那さまは岩井克人先生なんですね。

水村さんは、日本語で文章を書くことがほとんどなかったそうなのですが、それゆえに、文章の味わいが深いです・・。こんな読書ができたら素晴らしいと思います。

会社はこれからどうなるのか (平凡社ライブラリー い 32-1)会社はこれからどうなるのか (平凡社ライブラリー い 32-1)
(2009/09/11)
岩井 克人

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