タイタニックがもう一度観たくなるかも、『夢を語る技術 神話の法則 ライターズジャーニー』

心理学者ユングと、ハリウッドの著名シナリオライターのコンセプトをより発展させた内容のこの本。

以前読んだ本の中に出てきたので気になって読みました。が、今では何の本を読んで気になったのかが思い出せません。たしか、ランディ・パウシュの本だったと思ったのですが、読み返しても書いてないなぁ・・・

夢を語る技術〈5〉神話の法則―ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術 (5))夢を語る技術〈5〉神話の法則―ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術 (5))
(2002/11)
Christopher Voglar、

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ハリウッドのシナリオライター向けの実用書です。

ただ、こちら書いていくうちに実用書の域を超えて、ストーリーの中に綿密に盛り込まれた人生の教訓、人生の途中でおこるトラブルを予測するための「人生のガイドブック」としても読まれているそうです。(本文より)

ハリウッドのシナリオですが、以前別所哲也さんが出演されていたBookoversをお聞きになっている方はお分かりだと思いますが、

始まり、

中間 1,2

終わり

という3幕構成になっています。

別所さんがお薦めされていたのはこちら↓

ハリウッドストーリーテリングハリウッドストーリーテリング
(2009/06)
田中 靖彦

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今回の「神話の法則」のなかでは、

シナリオのコンセプトを野球のダイヤモンドにたとえて展開しています。

人生を野球にたとえて言うなら、ヒーローがランナーであり、人生というステージの周りに道を切り開いていく、というもの。

ストーリーを考えるにあたって必要なキャラクターの性質は以下の7タイプ。

・ヒーロー(英雄)

・メンター(賢者)

・シュレスホールド・ガーディアン(門番)

・ヘラルド(使者)

・シェイプシフター(変化するもの)

・シャドウ(影/悪者)

トリックスター(いたずら者)

(これって、ファイナルファンタジーで応用されてそうな人物ですね。

実際スターウォーズなどはこのような登場人物で展開されています)

それぞれどのような役割をするか、詳しい解説がされているのですが、

そのいずれの解説もとても深いです。

たとえば、

メンターについて。

メンターという言葉は叙事詩オデュッセイア』に語源がある。メンターという名前の登場人物が年若いヒーロー、テレコマスを旅の途中へ導くのである。実はこのメンターに姿を変えてテレコマスを助けるのは、女神あてねである。メンター(賢者)は、しばしばヒーローに神の声を伝えるが、神聖なる英知によってヒーローを鼓舞する。よき教師やメンターは、その言葉がもつ元の意味どおり、<Enthusiasm=熱心>である。<Enthusiasm>はギリシャ語の<en theos>が語源で、神からの啓示、己の中に神を宿すこと、神とともにあることなどの意味がある。

といった具合に、根本から掘り下げて解説していきます。

登場人物がもつ心理的な役割についても、心理学者ユングの思想を引き継いでいて、映画や小説が面白いのはたまたまではなく、とっても練りに練られているのだ、ということがわかります。

たとえば、

シェイプシフター(変化するもの)の心理的役割。

これはユングの心理学で使われる専門用語、<アニムス>と<アニマ>の力を表現したものである。<アニムス>は女性の無意識に潜む男性的な要素に対してユングがつけた名前である。それは女性の夢と妄想における男性的なイメージの肯定的もしくは否定的な部分の両方を含んでいる。<アニマ>は男性の無意識に存在する女性的な要素に類似する部分である。この学説では、人生は生存のために、そして精神的なバランスをとるために必要な男女両方の性質の完全な1対をなしていることになる。

ちょっと深く過ぎて、単に小説を書きたいという理由で手にした人は、手放してしまうかもしれません。

なにせこの本4,200円。ページにして500ページ近くありますから。

私はシナリオ書こうとか、小説とかっていう気はありませんが、

(書くならブログ、エッセイで今のところお腹いっぱいです)

ハリウッド映画を観るにあたって、展開がちょっと読めて、「水戸黄門」風に楽しめるかもしれませんね。

実際、この本の最後に、「タイタニック」をキャラクターや展開において、どのように応用されているか解説しているのですが、「へー、そんな意味があったんだぁ」とちょっと映画見返してみたくなりました。

映画観ながら理屈を言っちゃう人、これ読めば理屈からちょっとしたTheory(理論)になります。

でも結局私は観たままで楽しんでしまいますけどね・・・