2022/03/29 【読書】『塑する思考』

発売したころに紙の本を購入したのですが、ようやく読みました

 

塑する思考

塑する思考

Amazon

 

プロダクトデザイナー佐藤卓氏による、

広告や商品をどうやってカタチにしていくか、

その思考法について詳しく分かる本

 

本の表紙になっているのは、

御本人が最初に自分で商品から手掛けたという

ニッカウィスキー・ピュアモルトの瓶の形ですね

 

「おいしい牛乳」のパッケージもデザインされています

本の中でも具体的にどうやってデザインが

決まっていたのかがわかります

御本人が牛乳配達のデザインにこだわっていた点も

そのデザインをどうやってゼロにしたのかもわかって面白いです

 

ちなみに、「塑する」というのは、佐藤氏によると

次のような考え方です

 

塑性的であるとは、社会の流れにただ身を委ねることでも、無闇に付和雷同することで ましてや世の中に媚びて流行を追うことでもなく、置かれた状況を極力客観的に受け 止め、適切に対応できる状態に自分をしておくことなのです。 生命科学になぞらえれば、 あらゆる臓器に変化する可能性を持つiPS細胞のような状態に。 そこには意思がないど ころか、今ここでなるべき形になるのだという強い意思がしっかりとある。 世の中に流さ れない冷静な判断の下、自分が今なるべきものになる。やりたいことを、ではなく、やる べきことをやる、の姿勢です。 塑性的であれば、やるべきことが、まさにやりたいことに なる、と言い換えてもいい。

 

本の後半に「便利」に関する話がありました

 

便利を求めて、頭をつかわない製品や

効率化のために楽を追求している反面、

身体を動かすためにジムに入ったり、

脳が衰えないようにあれこれ鍛えようとしたり、

行動がすべて分業になっていることに

私自身も違和感を感じていましたので、

なんとなくスッキリしました

 

敢えてしてみる不便から大きな飛躍を生み出すところに、人の営為のすべての手がかり が隠されているとさえ思うのです。 便利ウイルスに抗するワクチンがもしあるとすれば、 それは便利を疑う習慣にしかない。考えなければ気づかないではダメです。日常生活の中で、人はいちいち考えながら行動しているのではなく、物事に瞬間的に反応して、ほとんどの行為が無意識に起きている。そんな中に便利ウイルスはしたたかに入り込んでいるので、考えなければ、では、ぜったいに気づくわけがない。便利は常に魅力的で、楽をした い身体はいつも便利を欲しています。手強いウイルスはそこに付け込んで我々の普段の生 活のどこそこに必ず入りこんできます。だからこそ、便利の危険性を疑ってみる習慣を身 につけるしかない。そうして多くの人が少しずつ変化すれば、全体としては大きな変革に なる可能性が十分にあるはずなのです。 俺や私の利益が最優先される個人主義全盛の時代 に、失ってしまったものをどこまで取り戻せるかは、この便利ウイルスと人類とがどう共 にほどよく進化するかに掛かっているように思われてなりません。

 

本については、久々にいい読書をしているな〜と、

心が躍る感じでした

 

他の人の思考を覗き見できるの面白いですね

 

直球のビジネス本やマニュアル本ではなく、

ちょっと遠回りの本も読みたいと思う今日このごろです