2021/8/14 「それを、真の名で呼ぶならば」

先日の「フェミニズムに関するブックトーク」で」紹介されていて、気になったので。

レベッカ・ソルニットの「それを、真の名で呼ぶならば」

私は先日の公演を聴くまで、レベッカ・ソルニットについてはまったく知らなかったのですが、彼女は「マンスプレイニング」をいう言葉を広めた人として認知されているのですね。

マンスプレイニングとは (Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0

読み始めてすぐに、私が好きなハンナ・アーレントが紹介されていてテンションがあがります。

自分を分離させて自身を問いただす自己との内的対話の重要さを、アーレントが提唱したことを語った。(略)「それができる人は、現実に他者との対話もできるし、他者を批判することもできる。アーレントが『悪の陳腐さ』と呼んだのは、他者の声を聴く能力がないことであり、自己との対話ができないか、世界と、つまり道徳的世界との対話ができないということだ」

トランプ就任時のアメリカ大統領選にまつわる話しが、フェミニズムと合わせて語られていたり、最近のアメリカを理解する助けになります。

「社会の一員になる800万の方法」という章で、レベッカトランプ大統領に宛てた手紙の内容としてニューヨークが紹介されています。私の相方はいつかニューヨークで働いてみたいと思っているので、環境や問題について理解が深まりました。私が知っているニューヨークは電飾街ってだけなので。

すべての劣悪なストーリーは〔誰かを閉じこめる〕刑務所になるのです。このストーリーを破壊する(ブレイク)ことで、誰かが刑務所から脱出する(ブレイクアウト)ことができます 。これは解放活動です。重要なことなのです。

それは世界を変えます。詩人が世界の真の立法者であるという、パーシー・ビッシュ・シェリーの有名な言葉があります。 ジャーナリストは、立法や制度変更の機動力となる信念の体系をしばしば変える、「ストーリーブレイカー」なのです。それは、情熱と主体性と勇気を持って行なえば、力強く、高潔で、極めて必要不可欠な仕事になります。

未来の世代は、地球が燃えているときに取るに足らないことで気をそらしているわたしたちのほとんどを恨むことでしょう。 ジャーナリストは、この危機における可能性や責任に関して極めて重要な立場にあります。 ストーリーを作る者として、 ブレイクする者として、わたしたちはとても強力な存在なのです。

ですから、どうか、ストーリーをブレイク してください。

※ジャーナリズム大学院で行った卒業スピーチ

希望とは、わたしたちがやっていることは重要かもしれないと信じることであり、未来はまだ書かれていないと理解することである。それは、起こり得ることや、それに対してわたしたちが果た す役割について、豊富な知識と鋭敏さを伴う柔軟な姿勢を持つことである。希望は前に向かうもの だが、わたしたちの勝利やその複雑さと不完全さを含む歴史を知ることで、過去からエネルギーを 引き出す。それは、善の敵である「完璧」を崇拝しないことであり、勝利が咥えている敗北をその 口から奪わないことであり、まだ未来が書かれていないというのに何が起こるかわかったつもりにならないことである。未来に何が起こるかは、わたしたちの手にかかっているのだ。

ガンディーは、「言葉よりも優れた行動 (Deeds Better than Words)」 という論文の中で彼女たちにつ いて言及しており、ジェーン・コブデンという女性が逮捕された姉の言葉として語った次の言葉を 引用している。「私が作ることに加わっていない法律には、けっして従わない。それらの法律を施 行する権威や裁判所を、私は受け入れない」。ガンディーは、「現在は国中の人が彼女たちをあざ笑 っていて、味方をする人はわずかしかいない。だが、これらの女性はひるまずに、理念の実現のた めに殺然と活動している。彼女たちは成功して参政権を得るにちがいない」と書いた。 そして、ガ ンディーは、これらの女性たちが勝てるのであれば、イギリス領のアフリカで権利獲得のために闘 ているインド系市民も勝てるだろうと考えた。その同じ論文(なんと、一九〇六年の!)の中で彼 はこう予言した。「時が来れば、インドは拘束を断ち切るだろう」

思考には伝染力がある。感情も、希望も、勇気も、すべて人から人に広がる伝染性のものだ。こ れらの資質を具象化するとき、あるいはその逆のものを具象化するとき、わたしたちはそれらをほ かの人に媒介する。

わたしよりも先に生まれて可能性と想像力の扉を開けてくれたヒロインやヒーローたちが、わたしたちを鼓舞してくれる。

ミシェル・フーコーは「人は自分が何をやっているのか知っている。多くの場合は自分がなぜや りたのかも知っている。知らないのは、自分がやったことの影響だ」と述べた。あなたは自分にで きることをやる。 あなたがやったことは、これから何世代にもわたって、あなたの想像を超えたこ とを成し遂げるかもしれない。あなたは種を植え、その種から木が育つ。その木は、実をつけ、木 を作り、鳥たちのすみかになり、さらに多くの種を生み出し、森になり、ゆりかごや家を作る木 材になるだろうか? あなたにはそれを知るすべはない。木は、あなたよりももっと長生きするか ら、同じように、真実あるいは正しさについての新しい発想を受け入れることがもたらす変化も、ときには世界を作り変えるかもしれない。あなたは自分にできることをする。自分のベストを尽く す。 それがもたらす影響は、もはやあなたの責任ではない。

最後の章の最初に・・

この仕事は、常に、最初にも、最後にも、ストーリーを 伝えることだ。あるいは、わたしの友人にいわせると「ストーリーでの闘い」である。築き上げ、思い出し、伝承し、わたしたちのストーリーを祝福する。 それは、わたしたちの仕事の一部なのだ。

この仕事は、持続されてこそ意義がある。持続させるためには、無数の小さな漸進的な行動が重 要なのだと、人びとが信じなければならない。結果がすぐに出なくても、あるいは明白でなくても、 意義があるのだ。 候補者の当選やパイプライン建設を阻止するとか、あるいは法案を可決させると いった直接の目的に失敗したときでも、あなたは、もっと大きな変革がより可能になるよう、枠組 全体を変えたのかもしれない。 ストーリーあるいはルールを変えること、ツールやテンプレートを 与えること、あるいは将来の活動家を励ますことで、あなたはまわりにいる人びとが努力をつづけ られるように促すことができるのだ。

それが重要だと信じることで・・・・・まあ、未来を見ることはできないにしても、過去は自分のもの にできる。 過去は、パターン、モデル、類似性、道理、リソースを与えてくれる。そして、勇敢さ と不屈のストーリーと、意義がある仕事をしているときに感じる深い喜びを与えてくれる。 それを手にし、わたしたちは可能性をつかみとり、希望を現実に変えていくことができるのだ。

訳者の渡辺由佳里さんですが、「洋書ファンクラブ」というサイトを運営されています。洋書のおすすめ本がたーくさん紹介されていますよ。私もそろそろ洋書を読む習慣を手にしたいです。

洋書ファンクラブ

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渡辺由佳里さん

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