東北震災ボランティア@陸前高田編

東北のボランティア2日目。

陸前高田にて、写真の修復作業に加わりました。

修復、といっても、

すでに5ヶ月以上たってしまったアルバムの写真を1枚1枚水で丁寧に洗い、

バクテリアを取り除くというものです。

水に浸りきっているものを

さらに水に浸してしまうと、

ほとんどの色が落ちてしまいます。

その写真に写っている人物、背景、

そのひとつひとつが自分の知らない誰かの目に触れたときに、

大切なものになるかもしれない、と思うと、

気が抜けません。

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(かなり状態の悪いアルバムを干しているところ)

アルバムも1枚全部見ていると、

あるお子さんの1年が垣間見えてきます。

あまり人目に触れるようなものではないから、

とても貴重な体験をさせていただいたと思います。

しかし、震災から5ヶ月以上が経過していますので、

写真を洗っていると、

「これ、持ち主現れるかな・・」

という気持ちになります。

修復作業を始めて2時間ぐらいしたころでしょうか。

「昨日、写真が見つかったと聞いてきたのですが・・・」

と、あるご夫婦がいらっしゃいました。

 

作業場でしたので、

人が来ることを想定していなかったのか、

聞いた人たちは少しバタバタしていました。

しばらく連絡を取りながら目的のものが見つかったようで

ご両親にお渡ししていました。

「あー、これです。

この写真です。娘の写真なんです。

ずっと娘の写真だけ見つからなかったんですよ」

お母さんは涙が止まらなくなっていました。

「娘は、津波で亡くなったんです。

どうしても娘の写真だけが見つからなかった」

お母さんはとても気丈にしてたから、

そんなつらいことがあったなんて想像できませんでした。

高校生の娘さんは、部活動のみんなと高校に避難したとメールがあったので、

てっきり助かっていると思っていた。

だけど、別の場所に移されていて、助からなかった。

同じ部活動をしていた9人のうち2人だけが、

小さな小屋に閉じ込められて顔だけ水面からあがっていたので助かった、と。

一緒に作業をしていたみんな黙ってずっとお母さんの話を聞いていました。

その後、作業にうつってからは、

誰もほとんど話すことがなくなっていました。

でもみんな1枚1枚の写真の重みを考えていたと思います。

午後、またさきほどのご両親がやってきました。

アルバムになっている写真以外の、

1枚1枚ばらばらに見つかった写真がまとめてあり、

その中の集合写真を見ながら、

「あー、この人とこの人、家がなくなってしまったんよ。」

といろいろな思い出話をされていました。

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この日から数日が過ぎて、

ふと考えることがあります。

朝、元気に出かけていった人が、

もうその日を最後に一生で会えなくなってしまうなんて、

どんなことなんだろう、

その子を思い出してくれる仲のいい友達もみんないなくなってしまうなんて、

一体どこに自分の存在なんて実感できるんだろう、

と。

岩手に行ったらいたるところに、

「がんばろう大船渡」

「負けないぞ東北」

といった旗がたっています。

でも、みんなつらい過去を経験しながら、

毎日それでも生きているなんて、

それだけで十分がんばってると思う。

がんばらなきゃいけないのは、

私のほうだ、と強く思いました。

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(まだまだ手のついていない写真の山々)

私が参加したのはたったの2日間ですが、

これまでの5ヶ月間も、

今日も明日もあさっても、

現地で活動を続けているボランティアの方々がいます。

参加した団体のメンバーの6割以上が

海外から来ている人たちに混じっていたこともあって、

日本人としてもっと早く、たくさんのことに取り組む必要性を感じました。

ボランティアに参加している方たちは

みなさんとても楽しそうでした。

毎日行われる仕事の後の報告会で、

写真を取りにきたご夫婦との出来事を

自分の感情も正直に伝えているオハイオ出身のリーダー。

私は日本にいる人間なのに、

みんな手伝いにきてくれてありがとう、

といってくれました。

たくさんいるメンバーの中には、

タバコふかしてちょっと悪そうな人もいましたが、

とてもありがたい、と日本人として心底思いました。

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↑こちらは、「フィールド オブ ドリーム」チームと名づけて、

田んぼの中から水路を見つけ出す、という途方もない作業を続けている場所。

泥んこ。日陰がないので、1日の疲れが半端じゃないそうです。

街のいたるところに、

大きな山になった瓦礫が積んでありました。

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東北のためにがんばりたい!という気持ちにはなれません。

東北の人たちは、毎日起きて生活をしているだけで、

大きなものを背負ってがんばっています。

目の前のことをしっかりやっていけばいい、

とは思えないのです。

自分にできることはなにかあるだろうか、

と自問する時間が続いています。

さて。