他人の頭の中を冒険!『The New Yorker 傑作選1』Byマルコム・グラッドウェル

アイディアを出す人の頭の中をのぞいてみたくありませんか?

アイディアの秘訣がわかるかも。

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自分が「すごい!」と思った人の普段の生活が見えてきて面白いですよ。


マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”
(2010/07/07)
マルコム・グラッドウェル

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レビュープラスさまより献本いただきました。

こちらもゲラ段階で届きまして、受け取ったときはかなり興奮しました。

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)」や

天才! 成功する人々の法則」などのヒット作を連発している、マルコム・グラッドウェル氏による最新作。

7月7日発売。

今回も、「天才!」の時と同様、勝間和代さんが訳を担当されています。

シリーズでいくつか出るようです。

「はじめに」で、マルコム・グラッドウェル氏の

これまでの発想のヒントと思えることがあったので、引用。

優れた文章かどうかは、人を説きつける力で決まるものではない。

ともかくも、本書に掲載されたタイプの記事はそうではない。

優れた文章かどうかは、読むものを引きずり込み、

何かを考えさせ、誰かの頭の中を”垣間見せる”力によって決まる

-たとえ読んだあとに、その誰かの頭の中があまり居たくない場所だったとしても、だ。

私はこれらの記事を、”他人の頭の中をめぐる”という意味で「冒険」だと思っている。

これを読んで、最近とてもはまっている小林秀雄先生の本に

書かれていたことを思い出しました。

以下ちょっと長いですが、抜粋。

海が光ったり、薔薇が咲いたりするのは、

誰の眼にも一応美しい。

だが、人間として生まれて、

そんなことが一番気にかかるとは、一体どういうことなのか。

現に、会場に絵を並べた二人の画家は、四十何年間も海や薔薇を見て、

未だ見足りない。

なんという不思議だろう。

そういう疑問が、この沢山な鑑賞者のうちの誰の心に本当に起こっているだろうか。

そういう疑問こそ、絵がひとつの精神として諸君に語りかけて来る糸口なのであり、

絵はそういう糸口を通じて、諸君に、諸君は未だいっっぺんも、

海や薔薇を本当に見たことはないのだ、と断言している筈なのであります。

私は美学という一種の夢を言っているのではない。諸君の目の前にある絵は実際には、

諸君の知覚の根本的革命を迫っているのである。

とすればこれは、驚くべき事実ではないのですか。

小林秀雄 「私の人生観」


人生について (中公文庫)人生について (中公文庫)
(1978/01)
小林 秀雄

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ひとつのことに自分の時間のほとんどをつぎこんむとは

どういうものなのか、今回のグラッドウェル氏の内容は、

「マイナーな天才」の紹介からはじまっています。

テレビショッピングで、驚異的な売り上げをつくる男性の話、さらに日本では2008年にヒットした「まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」の著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏。

それぞれの方面に、情熱をもち結果をだすまでの、

地道な作業のひとつひとつに自分なりの興味をぶつけています。

今回はとても身近で誰もが興味がある食を扱った

第2章「ケチャップの謎」について、ハインツのケチャップが定番商品になるまでの、

「秘訣」をシェアしたいと思います。

トマトケチャップなんて、

調味料のひとつぐらいにしか思っていませんでしたが、

食という観点からとられると

とても広く深いアイテムになります。

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まずケチャップは、

・自分で味の調整ができる

(料理を作る人ではなく、食べる人の裁量でつかわれる。

たとえそれが5歳の子供であっても)

さらに、トマトというのは、

・人類のるつぼを料理で真に表現しうる唯一のかたちである。

(トマトは、誰にでも何かを提供できるという、ほかに例をみない特別な能力がある。

スペイン料理でもインド、さらには中国。

トマトを通して料理が文明化していく歴史を説明することができる)

・5つの味覚(甘味、酸味、塩味、苦味、旨味)をもつことができる

ハインツのケチャップは、

この「トマトケチャップ」の特質をしっかりと見抜き、

他社の奇抜なアイディアの中、結局のところ「トマトケチャップ」をひたすら極めて

定番化していったものといえます。

5つの味覚を徹底的に獲得する味をつくりだし、

今でもスーパーマーケットの棚でちょっと威厳をはなっています。

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(威厳があるというより、そういう意識でみているからかもしれません。

日本ではカゴメのケチャップのほうが定番かも!)

幸せとはある意味、人間の好みの無限の広がりに対して、

世界がどれだけ念入りに応えられるのかどうかという相関関係でもある。

だが、そうなると「幸せとは、往々にして私たちやほかのみんなが、

すでに持っているものの中に存在する」という大事なことを忘れてしまう。

食、さらにはそのなかの「トマトケチャップ」について考え抜く。

突破口が見つからずに、なにか「新しいこと」に目移りしてしまう自分への

厳しいメッセージのようにも思えました。

「かわらなきゃ」と思って、先のことを心配している人も、

目の前にあることをひたすら一生懸命やれば、

そこから現状を打破するヒントがあるのかもしれません。

最近、 ※ポモドーロテクニックによる、時間管理が浸透している私には、

「トマト」つながりでとても考えさせられる内容でした。

ポモドーロテクニック

トマト勉強法といったほうが一般的かもしれませんが、25分で時間をくぎって、

作業するというもの。人間の集中できる時間の限界をうまく活用した時間管理法です。

これは本のなかの本の一章節の内容だけですので、

ぜひ、店頭で手にしてみてください! 

第二部では「人間が経験した出来事を”体系的に理解するための方法”」などが紹介されますよ!